俺様王子は子猫がお好き

さっきは思わず抱きしめてしまったけれど、こんな結菜相手には、話は別。



バクバクとうるさい心臓に手をあて、結菜から少し距離をとる。


弘美さんの言ってた子どもって……もしかして…。



だめだ。このまま結菜の近くにいたら、俺は何をするかわからない。



「ご、ごめん俺今日は帰るわ」



立ち上がろうとする俺の腰を、



「……やだ…」



弱々しい結菜の声が縫い付ける。



「行っちゃ…やだ」



その涙目の甘えるような上目遣いが……



「……っ」



もういいや。弘美さんも本人は覚えてないって言ってたし。


いや、そういう問題じゃないんだけど。


とにかく我慢できず、俺はぎゅっと結菜を抱きしめてしまった。



あああもう!何なんだよこの結菜は!



これで何もするなというほうが無可能だともう開き直ってやる。
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