【短】ユルサナイカラ
「なのに、なんでB香もあいつのことが好きなんだよ!!!!」






そう、私は見てしまったんだ。





B香は、バレンタインの日、みんなと種類の違う、見るからに本命チョコだってわかるチョコをあいつに渡していた。





「だ、だって、なんかA子と一緒に見てたら私もなんだか意識するようになっちゃって……

これは恋なのかなー……みたいな?」



うつむいてぼそぼそと答えるB香




………否定はしないのか……………



なによ、恋なのかなー……なんて




「ふざけないでよ!約束したのに!

私の恋は応援するって、そう言ったよね!?」



廊下で話しているということも忘れどんどん声が大きくなる。



「で、でも……」




「でももだってもない!
約束破るなんて最低!!」



「ご、ごめんっ!
あ……だから………」


目に涙をためてすがってくる。




「うるさいうるさい!

前から思ってたんだけど、私にくっついてばっかりで、私の趣味とかにも合わせてばっかりで、『自分』っていう物がないの!?

そんなことするからこうやって同じ人を好きになっちゃうんでしょ?

迷惑だよ!!」



「A子ちゃん……?」



「はあ、なんで、いままであんたなんかと一緒にいたんだろ。あほらしい。」




軽蔑した目でB香を睨み踵を返す。





集まってきた野次馬をかき分けて教室へ戻ろうとしたとき、B香が何か言ったような気がした。

でも、聞く気にもなれず無視をした。
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