幼なじみ
「乃愛…落ち着けよ?」


なだめるような優しい声

気が付けば私の胸は大きく動き肩で呼吸していた


ゆっくり深呼吸をする


「いい?
よく聞いてね。」


見つめる凪沙の瞳が真実を語る


「乃愛が何を見たのかは知らないけど、俺と菜月はもう関係ないんだ。

そもそも、俺は菜月を好きだなんて言ったことも
思ったこともない。


俺はずっと乃愛しか見てないよ。
…俺を信じろ。」


“菜月”

あの子は菜月って言うんだ

慣れ親しんだように名前を呼ぶ凪沙


心の中に生まれる
小さな靄


「乃愛?」



覗き込み心配する凪沙が

どうしてだろう

小さな靄を大きくする…


「私の…」

「え?」


「私の前であの子の名前を呼ばないで…。あの子の話もしないで…。」


拗ねた子供みたいな私に凪沙は優しく微笑んで頭を撫でてくれた


「うん…。わかった。」


ポンポンと頭を撫でられると安心する


「他の人なんて…見ちゃイヤだよ…。私だけ見ててよ。」



「うん。」


我が儘だけど
当たり前のように望んでしまう


そんな私の我が儘でも
凪沙はきっと聞いてくれるんだろう…


そんな凪沙が好き


「私の傍に居てね。」



「うん。傍にいるよ。」


そんな言葉が宝物のように
永遠のように思えた
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