ハナミツ





「『あぁ。そういうのもあるんですね。
そっか、』」


「はい。どんな感じにしたいとか、
もし時間があったらお店まで来ていただいて
打ち合わせするのがいいですけど…。」



「『そうですね。じゃあ姉と確認してみます。
打ち合わせた方が早いし確実だと思うから…。』」



綾瀬さんはテキパキと近いうちに打ち合わせに行く事、
結婚記念日の日を教えてくれた。


まだ日にちはあるから、そこまで焦らなくても
大丈夫らしい。


メモを取り日時を改めて確認した。



「『………。』」

「綾瀬さん?」





電話が壊れたんじゃないかってくらい、
静かになった。




「『…俺は…藤ノ宮さんの事を知りたいって
思うんです。最近物凄く。けど、もしかしたら
自分の欲は、あなたを傷つけるかも知れない。


でも、俺は……』」




さっきとは違い、語尾が弱くて低い声が掠れていた。



「『すみません。急に、何いってるんだろ……』」


< 271 / 668 >

この作品をシェア

pagetop