ハナミツ




「達こそ、久しぶりじゃん。」

「ん。」



達は特に突っ込んで聞かない。
相手が出している空気で色々感じとるらしい。



「んー、あぁ………っははーん、女か。」

「ば………、っ、お前。」


つい辺りをきょろきょろ見てしまう辺り、
俺は小心者だ。


達は、ふふんと笑った。

「いやいやオレは嬉しいんだぜ。お前なぁんもねぇーんだもん。ま、俺も人のこと言えねぇけど、こんな仕事だしな。」


「そんなんじゃない。」


そう、そんなんじゃない。

スマホで写メったフリージアは、写真越しでも綺麗だった。
藤ノ宮さんからもらったフリージア。


家の玄関に飾った。
家になんて来たことないのに、
何故か玄関に置いたらすっと馴染んでいた。



「……相手は花屋かぁ?」

奴は首を捻って、俺のスマホの画面を覗いていた。


「達、」


「へーへー。綾瀬は真面目なこって。」






< 28 / 668 >

この作品をシェア

pagetop