ハナミツ















数分で直昭さんは肩口から体を離したけど、反対側を向けてしまった。


「……」


泣いた顔が見れない、けど見せたくないと思う。


自分の弱いところをそんな簡単に相手にさらけ出せるわけない。直昭さんもまだわたしのことを、本当に信頼出来てないから。



私は直昭さんの方に行き、そっとおでこを背中にぶつける。




直昭さんの身体熱い。泣いていたからだ。
Tシャツ越しだから尚更熱が伝わってくる。


その、そういうことする時の彼は大きく見える。
のに今の直昭さんの背中は小学生の男の子みたいに小さく感じてしまう。


小さい男の子が泣いている。
顔を見られたくなくて。



桃花は女の子だったから、すぐ慰められたのに。
彼は男の人でむずかしい。




「……」


そろそろ離れた方がいい、直昭さんも朝早いし。
体をそっと離そうとしてモゾモゾ距離を取る。










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