私と彼女と彼等


......中庭にて



「いただきまーす。」  

手を合わせて自分で作ったお弁当を食べる。


「このかぼちゃコロッケうまっ!!流石、ちさぴょーんっ!!」

......啓、あんたは......。

「毎回毎回人のお弁当のおかずを......!!」

「えー、だって稚咲の弁当うめーんだもん。」

「あんたいつも美味しそうなお弁当食べてるじゃん!!」

啓のお母さんて料理が上手いんだよね。

それなのにそのお弁当残してまで私のお弁当食べてどうする。

「稚咲の弁当が食いたいのー。」

......色々とわがままだな!!

はぁ、でも結局、そのわがまま聞いちゃうんだよね。

「...しょーがないなぁ。じゃ、お弁当交換する?」

なんで私のお弁当をそこまで食べたいのか知らないけど。

「マジ!?やった!!」

喜ぶ啓とお弁当を交換する。


......啓のお弁当箱大きすぎでしょ。

まぁ、啓が半分位食べてるからそんなきつくはないけど。


「いただきまーす。」

手を合わせて啓のお弁当を食べる。

うまっ!!

啓、馬鹿でしょ。

こんな美味しいお弁当を残すなんて......!!


「馬鹿だねー。こんな美味しいお弁当を残すなんて。」

「んー、母さんのもうめーけど稚咲の弁当の方が好きー。」



きゅん。

なんてこったい。

そんなこと言われたらきゅんとしてしまうだろう。


あー、私、あの啓にきゅんときちゃったよー。
 
ま、でもあんなこと言われたら仕方ないよねー。

「......おい、お前ら。俺らの存在忘れてるだろ。」


呆れている一哉。

と、後ろには妙な顔の雅とヒカルとニコニコしながらお弁当を食べる美咲。

......あ、忘れてた。


「ごめんごめん、あれ、柊は?」


普段はぎゃいぎゃいうるさい柊がいない。

「サッカー部の昼練行ったー。」


昼練?


「普段そんなのないよね?」

「あー、三年の引退試合の為に練習するんだってー。」

あ、そうか。柊は三年の引退試合に二年で一人だけかり出されたって言ってた。


「へー。そうなんだー。」

柊がいないとお昼が静か「きゃー。ちさちゃーんっ!!私、ピーマン嫌いなのぉ!!代わりに食べてぇ!!」......じゃない。

なぜかオネェみたいな口調の啓。 

......あぁ。この馬鹿にきゅんとしたさっきの私を殴りたい。
















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