後編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
山田礼二
俺は今、アイリちゃんのお祖父さんの
剣道の道場に来ている。


来てみてビックリした。


俺の通ってた道場もかなりの名門道場
だったけど、アイリちゃんの家もまた
剣道家なら知る人ぞ知る
名門道場だった。


アイリちゃんのお祖父さんは
俺の事を知っていたみたいで


「今日はうちの奴らともお手合わせを
是非お願いします。
私も年を取ったし(笑)
アイリは少しブランクがあるものの
今やこの道場で1番強い。
だから、山田君にはちょっと物足りない
かもしれないがね(笑)
私の息子でこの子の父親が
警察官でこの道場の
看板を守ってくれてたんだけど…
まぁ、湿っぽい話はやめにして
今日はよろしく頼むよ(笑)」


と言って俺の肩をポンポン叩いて
快く受け入れてくれた。


挨拶をして中に入ると更衣室に
案内されて着替えた。


着替えて軽く身体を動かしていると
ミカとアイリちゃんも更衣室から
出てきた。



やべえ、アイリちゃんの言う通り。


ミカの道着姿が綺麗すぎる。


剣道は女の人にも人気が出て来たのか?
女の剣道家も随分増えたけど
それでもまだまだ男社会だ。


みんなミカをチラチラ見ながら
ボケーッとして見ている。


小顔で色白で手足が長い。
それだけで道着が
めちゃくちゃ似合うのに
元々大人っぽくて気品溢れる雰囲気で
顔の造作も文句のつけようもない程
美しい。吸い込まれそうになるくらい
俺のミカは美人だからな…
やや上がり気味の
黒目がちの大きな透き通るような瞳は
フサフサの睫毛で更に引き立てられて
いて、その瞳は全ての者を
魅了するんだ。



それなのにミカは自分の魅力に
全くといっていいほど無自覚で
他人の痛みには敏感なくせに
自分の恋愛事になると目も当てられない
くらいに鈍感。


お人好しってくらいに穏やかな性格で
純粋で真っ直ぐで周囲の目なんか
気にせずに良く笑う。


この笑顔がまた華が咲いたように可憐で
見た者はみんなハッと息を飲むほどに
可愛いんだ。


俺としてはこんな無自覚なミカをいつもハラハラしながら見ている。
しょっちゅう男に声かけられてるのに
全然気がつかないんだ。
小さな虫は後を絶たない。
そして、今回、特大級にめんどくさい
厄介な虫がミカに取り憑いた。


3週間後に有坂に呼び出された
俺たちは大乱闘になる。


有坂はミカに凄く執着していて
どんな手段を使ってでも
ミカを自分のモノにするって
躍起になっている。


ミカは俺のもんだし
何があってもやらねぇしっ!!
ただ、俺は売られた喧嘩は買う主義だ。


それに、あいつには俺は
言葉では言い表せないくらいに
ムカついてるんだ。


暴力団がなんだ?
麻薬常習者がなんだ?


俺とミカを邪魔する奴は誰であろうと
絶対にゆるさねぇ。


ボコボコにして2度とミカの前に
現れられない面にしてやる!!
くそがっ!!!!



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