この恋を叶えてはいけない
 
駿のいる大阪……。


この3年間、東京と大阪の距離を縮めたことなんかなかった。

もしそれを縮めてしまえば、会いに行く衝動を抑えられないと思ったから……。


だけど……
もう……


「……いい頃合いなのかも……」

「何が?」

「え?あ、なんでもない」


ついつぶやいてしまった言葉に、隣に座っていた知香ちゃんに突っ込まれた。

すぐに首を振って、仕事モードに切り替えパソコンに向かう。


うん。
もう……大丈夫。







「あ、話聞いたん?」
「やっぱり知ってたんですね」


戸村さんの家に居候させてもらってから、1週間が経った。

慣れ始めた同居も、もう最初の頃のように緊張はしなくて、スーツを脱ぎ捨てた戸村さんがソファーに腰をかけると、大阪出張の話を持ちかけた。
 
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