この恋を叶えてはいけない
 
「唯香ー」
「あ、今行く!!」


駿からのメールを見て、一瞬固まってしまった。

だけど陵の声で我に返り、それに返信することなく携帯を閉じる。


「ったく……朝からどんだけ時間かかってんねん」
「うるさいなー。
 だいたい人が早く起きようとしてんのに、陵が朝からっ……」
「朝からなんや?」
「…っ」


グイと顔を近づけてきて、にやりと微笑む。

いまだに慣れない。小悪魔の顔。

一瞬ドキッとして、目を逸らした。


「知らない!早く行こ!」
「はいはい」


このままだと、またキスされると思って、さっさと玄関の扉を開けた。


だけどそれを陵が許してくれるはずない。

ドアを開けているのにもかかわらず、グイと頭を引き寄せられ……



「…っ」

「ほな、行こか」

「……」



やっぱりキスをされて、部屋を出た。


だからもう…
この人は……。
 
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