この恋を叶えてはいけない
なんとかしてその場を切り抜けようとした貴志の態度に、怒りがふつふつとわき起こった。
泣いてすがるとか、
浮気しててもいいとか、
そんなふうに思えるほど、しおらしい女の子でもなかったから。
(友達ねー。
毎週のように泊まって、体の関係を何度も重ねるあたしがお友達とは……)
(なっ、どういうこと!?)
(いや!だからそのっ……)
忘れて行った定期入れを、テーブルの下に見つけ手に取ると、
今持つ最高の笑みを貴志に向けた。
(貴志、これ取りに来ただけだから。
じゃーね)
口をパクパクさせている貴志に、怒りをあらわにしている彼女。
あたしはそんな二人を置いて、一人玄関を出た。
閉ざされた扉の向こうから、彼女の大声が聞こえて
そんな声が、少し羨ましくも感じながらアパートの階段を下りた。