*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
泣きじゃくる子供に、聖母マリアみたいな優しい顔で彼女は魔法をかけた。

その横顔を眺めながら、

『ああ……。この子と付き合ったら、きっと楽しいだろうな。オレは幸せな気分を味わえるかもな』

って、単純にそう思った。


サトシに指摘されたように、正直、ユウとの関係には疲れていた。

ユウといるとオレはいつもジェットコースターに乗っているような気分だった。

彼女の言動にいちいち感情が上がったり下がったりしていた。


ちぃちゃんと過ごす時間は、まるで観覧車に乗っているようだ。

ゆっくりと静かに回り続けるんだ。

一周回ったところで、『もう一周回ろっか?』って気分にさせてくれる。


こういう気分を“好き”だと言うなら、そうかもしれない。

彼女となら上手くやっていける。

そう自分に言い聞かせた。




オレはバカだった。



オレはまだこの時

サトシが言った言葉の意味を……



その意味を……

本当は理解していなかったんだ……。



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