*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
食堂を出ると急ぎ足で廊下を進んだ。
階段を上ろうと足をかけた瞬間、誰かが踊り場で話す声が耳に届いて、思わず動きが止まった。
「もう、我慢できへん!」
カナコちゃんだった。
何かに怒っているみたい。
興奮気味に文句を言っていて、それをヤマジ君が黙って聞いているようだった。
「なんであんなに無神経なん? アサミの時もそうやった。他人の気持ちなんて全然考えてへん。ユカリは世界中の男が自分のものやとでも思ってるんちゃうん? だいたい、シィがちぃちゃんと別れたんかって……」
「おい……!」
階段の下にいるわたしに気付いたヤマジ君がカナコちゃんの言葉を制止した。
カナコちゃんは、踊り場からわたしを見下ろす。
「ちぃちゃんも……。なんであんな状況でヘラヘラしてんの? お人好しもいい加減にしたら? 見ててイライラする」
そう言うと、プイッと背を向けて去って行った。
階段を上ろうと足をかけた瞬間、誰かが踊り場で話す声が耳に届いて、思わず動きが止まった。
「もう、我慢できへん!」
カナコちゃんだった。
何かに怒っているみたい。
興奮気味に文句を言っていて、それをヤマジ君が黙って聞いているようだった。
「なんであんなに無神経なん? アサミの時もそうやった。他人の気持ちなんて全然考えてへん。ユカリは世界中の男が自分のものやとでも思ってるんちゃうん? だいたい、シィがちぃちゃんと別れたんかって……」
「おい……!」
階段の下にいるわたしに気付いたヤマジ君がカナコちゃんの言葉を制止した。
カナコちゃんは、踊り場からわたしを見下ろす。
「ちぃちゃんも……。なんであんな状況でヘラヘラしてんの? お人好しもいい加減にしたら? 見ててイライラする」
そう言うと、プイッと背を向けて去って行った。