*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ふぅ………」


オレはため息を一つついて言った。


「じゃ、今度からここに来ん方がええんちゃうん? 浅野君と一緒に飯食ったら?」


精一杯の嫌味のつもりだった。

だけど、ユウは一瞬キョトンとした顔をして……

「なんで? 彼氏と友達は、別もんやん? 浅野君とナオは全然違うもん! だからいいねん」


全ての男を魅了するような天使の笑顔でそう言った。



――ユウ……オマエは悪魔だよ。


―――……
―――――――



「……でさ」


「え! マジでっ」


さっきのユウの話など、オレ以外のヤツは誰も興味がないようだ。

みんな、いつも通りのくだらない話で盛り上がっている。


でも、オレの気分は沈んだまま。


どうしても腑に落ちない。

ユウとは10年以上の付き合いだ。

それなのに、再会してまだ2ヶ月足らずのアイツにもってかれるなんて。


くそっ……。

……何やってんだろ。

告白する勇気も持てないなんて。




――パン……パン……パンッ


その時、オレの沈んだ気分とは対照的に能天気な音が頭上で響いた。
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