*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「うん。大丈夫」


ベッドから立ち上がろうとしたわたしにシィ君が言った。


「ちぃちゃん。今日、家までオレが送るわ。一緒に帰ろう」


「え……。いいよいいよ。大丈夫やし」


わたしは慌ててシィ君の申し出を断った。

頭をブンブンと勢いよく横に振り過ぎたせいか、また眩暈がする。

こめかみのあたりを手で押さえていると、ユカリちゃんが顔を覗き込んできた。


「あかんて。ナオに送ってもらって? これでも責任感じてるみたいやから」


「でも……」


「ほんまにそうしてもらって。ね? これ、ちぃちゃんの制服やから……」


ユカリちゃんは、わたしの制服と鞄を持ってきてくれていた。


「ありがと」


コクンと頷いた。


「じゃ。わたしはバイトあるし、これで帰るね」


「オレ、用事があるから、いったん部室に戻るけど迎えにくるから。ちぃちゃん着替えてここで待ってて?」


そう言って二人は出て行ってしまった。
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