*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「お前何やっとってん―――!」


9月に入り、本当の新学期が始まった。

ようやく初登校してきたサトシ君は廊下でみんなに絡まれていた。


「まぁまぁ……。これお土産の“らくだせんべい”ですー。あ、アナタもどうぞー♪」


サトシ君は、通り過ぎようする見知らぬ生徒にまで“らくだせんべい”を配り、迷惑そうな目を向けられていた。


「ラクダて……。お前どこ行っとったん?」


呆れ顔でシィ君が尋ねた。


「んー。色々。ちなみにこれは鳥取で買ってきてん。鳥取砂丘、マジ最高」


「つか、連絡ぐらいせーよ」


「すまん、電源切っとってん」


あ……。

目、合っちゃった。

サトシ君はわたしに目線を合わせるとニッコリ微笑んだ。


思わず目を逸らしてしまう。


昨日のことが思い出される……。
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