*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
一瞬……ほんの一瞬、言葉に詰まった。


「やっぱり。じゃ、もういい。もう別れよっ」


「ちょ……待てって。まだ何も言ってへんやろ?」


なんで女ってこう、すぐ結論を出したがるんだよ……。


「じゃ、どうなん?」


ユウは大きな目に涙を浮かべながらオレを追い詰める。



「ほんまに別れたいって思ってるんか?」


オレはユウの目を覗き込み、できるだけ優しくそう言った。


ユウはフルフルと首を横に振る。

その途端に涙がポロポロとこぼれ落ちた。

そして、オレの腕にしがみつく。


「イヤ。別れへん。でも、最近ずっと不安やった。ナオがわたしから離れていきそうな気がして……。お願い……ずっとそばにいて」


オレはそのままユウを引き寄せた。


「どこも行かへんよ。ずっとそばにおるから……」


そう言って、彼女の髪を撫でた。


なぁ、ユウ。

お前は気付いてるんだな……。

オレの心が揺れていること。

ごめんな……こんなオレで。


オレは今、目の前で泣いているユウを愛しいと感じている。

その気持ちに偽りはない。


だったら、これでいい。


この手を離さない、オレは。


それで良いんだ。

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