俺様副社長に捕まりました。
私の様子がおかしいことに気づいた里沙さんがどうしたのと心配そうに私を見た。
里沙さんがみて直ぐに分かるくらいだから私の顔は相当ひどい顔をしているのだろう。
「桃花さん?どうかした?」
「・・・えっ?な・・なんでもないですよ」
といっても顔に出ちゃう私のことだからなんでもありありの顔になっている・・はず
そんな私に里沙さんはカフェオレの入ったマグカップを差し出した。
椅子に座ると真向かいに座った里沙さんがもう一度何かあったの?と尋ねた。
わたしは彼女に話すべきかしばらく悩んだが
電話の内容を伝えることにした。
「実は・・・ある人が家政婦紹介所に私が在籍しているかの確認の電話をしてきたんです。」
「・・・・それって・・・誰?」
誰と聞かれて何と答えるべきか悩んだ。
好きで両思いだったけど私は彼の元から姿を消した・・だからわたしは
「忘れたいのに忘れられない人」と答えた。
その言葉に里沙さんは・・・・
「桃花さんてすごく明るくて仕事もしっかりやってくれて本当にいい人だなって
思ってるんだけど・・・でも、ふとした時にとても淋しそうな顔をするのを何度か見て
何かあったのかなって思ってたんだけど・・・興味本位で聞くべきじゃないって思ってたから
敢えて聞かなかったんだけど・・・」
やっぱりわたしはすごく顔に出てるんだと改めてわかった。
「実は・・・・」
私は里沙さんにここに来るまでの話をした。
元々秘書をやってたがその時付き合っていた彼に裏切られ会社をやめた。
そして趣味を活かして
家政婦になったこと、そして自分の担当する顧客を好きになったこと
お互いに気持ちが通じ合っていたけど相手の人と自分とでは住む世界の違う
将来を望んだとしてもそれは叶わないとわかって自ら身を引いて今の轟家政婦紹介所で
はたらくようになった事を包み隠さず話した。
私の話を黙って聞いてくれた里沙さんはうんうんと頷くとふっと微笑んだ。
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