俺様副社長に捕まりました。
里沙さんも拓海さんの言葉に同調するように頷いた。
私は・・・・
「ありがとうございました。私の事なのにこんなに親身になってくれて・・・」
「何言ってるの。桃花さんは家政婦さんというより家族みたいものだから・・・」
なんだかその言葉だけで胸がいっぱいになった。

時計を見るともうすぐ日付が変わろうとしていた。
帰ろうとすると拓海さんが夜中に女の人一人で帰るのは危険だからと
家まで送ってくれることになった。
その時
車の中で拓海さんは里沙さんに秘密にしてあることを話してくれた。それは
輝君、そして双子ちゃんの写真を里沙さんのご両親に定期的に
送っているそうなのだ。
もちろん里沙さんのご両親からの返事はない。
だけど拓海さんはそれでもいい言った。
「別に自分の事を認めてほしいからやってるわけじゃないんだ。ただ単に
子供には罪はないからおじいちゃんおばあちゃんに孫の元気な姿を
見てもらいたいってだけなんだ。・・・・でもこのことは里沙には内緒にしてね。」

里沙さんが拓海さんを好きなのも、井上家が素敵なご家庭なのも
拓海さんを見ていれば凄くわかる。

自分のこの先の未来にこんな幸せが訪れることはあるのか・・・
脳裏に水沢さんの顔が浮かんで胸の奥がざわつく

マンションに着き車から降りると運転席の窓が開く
「桃花さん。今日はありがとう…本当に助かったよ」
「いいえこちらこそ。私の事で時間とらせちゃってすみません。・・・
でも大変な時はお互い様です。だってもう家族みたいなもんなんですもんね」
「…そうだね。・・・じゃあ明日もまたお願いします。おやすみなさい」
「おやすみなさい・・・」
私は車が見えなくなるまでその場に立っていた。
さて・・・お風呂に入って・・・寝よう
そう思いながらマンションに入ろうとしたその時だった。
マンションの入り口に・・・・・あの人が立っていた。
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