俺様副社長に捕まりました。
所長はまずこの竹原家政婦紹介所の説明を始めた。
竹原家政婦紹介所の顧客は大手企業の役員や政治家、芸能人といった
いわゆるセレブと呼ばれる人たちだ。
だからネットや広告で顧客を獲得するなんてことは全くしない
というよりも古くから付き合いのある顧客が多いため基本新規はとらない。
どうしても利用したい場合はは紹介状がない限り受け付けないという徹底ぶり。
だから家政婦のレベルもかなり高い。
元CAやモデル、中にはセレブのご令嬢が花嫁修業の為に短期で働く場合もあるそうだ。
その場合何もわからないお嬢様をいきなり客の前に出すなんて事はまずしない。
所長の厳しいレッスンをクリアした人だけが家政婦として働ける。

そして所長の言う注意事項というのが3つ。
1どこのお宅で働いているかなど仕事に関する事は他言無用
2残業はしない。
どうしても残業が必要な場合はお客と所長が直接交渉をする。

3客との恋愛を禁ずる
   万が一恋愛が発覚した場合は即解雇

この3つを守ってほしいということだった。
どうせ家政婦なんてどこかの家庭(ここの場内はほとんどセレブな家庭だけど)で家事をこなせばいい
のだから恋愛なんてありえないと私は所長にきっぱり守れますと返事をした。

そして1週間後
所長から私の担当するお客様が決まりこれから顔合わせをするから
所長室に来るよう連絡が来た。

さあ~私の家政婦としての人生がスタートする。
気を引き締め所長室の扉をノックした。
「所長、小野寺です」
「入ってちょうだい」
所長室に入り会釈をするとソファーに座った男性が座っていた。
私に背を向けているため顔はわからない。
ただ後ろから見た感じではおじさんではない。

「お待たせしました。今日から水沢様のお宅を担当する小野寺桃花です」

ん?あれ?今水沢って聞こえたけど・・・・そう思っていたらソファーに
座っていた男性が立ち上がり振り返った。
そしてその顔を見た私は
その場で固まってしまった。

目の前の男性は
つい最近まで勤めていた会社の副社長だった。

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