俺様副社長に捕まりました。
「おはようございます」
水沢さんの隣に座って挨拶するとただ黙って私を見てる。
「な・・・なんですか?何か私に問題でも?」
挨拶もしてくれないのにじっと見られるのは正直いい気分じゃない。
だけど水沢さんは無表情のまま視線を元に戻し手に持っていた資料を私に差し出した。
「大阪につくまでに一通り目を通しておくように・・・あとスーツ似合ってる」
どさくさまぎれに言った言葉に不覚にもドキッとしてしまった。
前を向いたまま視線だけを水沢さんに向けると
新調したのであろう高級感半端ないスーツ姿で長い脚を組み資料読んでる姿は
悔しいけどカッコ良い。
秘書をやってた頃、この真剣な目で部下と話をしながら歩いている姿を
何度もすれ違いざまに見てきた。
その時はすごく遠い存在に感じたけど水沢さん・・・いや水沢副社長の仕事が
間近で見れると思うと朝までの憂鬱な気持ちは少しずつ薄れていった。

だが・・・・

「あの・・・いつもこんな感じなんですか?」
「何が?」
東京駅の新幹線のホームで新幹線を待っている間に若い女性たちがすれ違うたびに二度見をする。
「その・・・さっきからすれ違いざまに振り返られるんで・・・芸能人みたいだなーって」
「・・・気にしたこともないね・・・・別にそのへんの女になんか興味ないからな」
本当に興味なさそうに言うんだな~この人って
本当はその辺の女に興味がないんじゃなくて女全般興味ないのか・・・・って言ってみたいけど
反撃されそうなのでやめた。
とりあえず今日の出張がうまくいくことそれだけを考えよう!
そして商談が終わったら帰る!
一人でも帰る!
小さく気合を入れるのだった。
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