君と過ごした1ヶ月
始まりの記憶





ハァ ハァ ハァ


息を切らしながら私は病院への一本道を走る。



「病院に行くのはもう少し日が落ちて涼しくなってからにしなさい。」



あまりの暑さに一旦足をとめた私にお母さんの言葉が脳裏をよぎった。


素直にお母さんの言うこと聞いておけば


後悔してももう遅い。


頬を伝って落ちる汗。ハンカチなんて女子力の高いものは持っていない。


グイッと手の甲で拭った。


畠野 夏希(はたの なつき)


これは私の名前。


お母さんとお父さんがつけてくれた、由来は………なんだったっけ?


今は夏休みで田舎のおじいちゃんの家に来てる。


こうなったのは一本の電話からだった。





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