最後の恋にしたいから
「ああ、奈々子。久しぶり」

テンションが上がる私とは違い、拍子抜けするほど寿人の口調は素っ気ない。

それに違和感を感じつつも、こちらはいつもと変わらない調子を保ってみた。

「ごめんね。こっちから、全然連絡しなくて。もしかして、仕事が忙しかったのかなって思って……」

本当は、連絡をくれなかったことに、恨み言の一つも言いたい。

だけど、久しぶりの電話でケンカをしたくなかったのと、寿人の様子のおかしさに、その気持ちは抑えた。

それに、彼はIT企業勤め。

時間が不規則になることも珍しくないから、本当に仕事が忙しかったのかもしれない。

「実はさ、どうしても奈々子に話したいことがあるんだ。今から会える?」

少しけだるそうな言い方に戸惑いつつも、私は二つ返事をしていた。

「うん! もちろん大丈夫よ。寿人のうちへ行けばいい?」

寿人は一人暮らしだから、会う時は彼のマンションへ行くことが多い。

だから当たり前に聞いてみると、予想とは違う答えが返ってきた。

「いや。今夜はファミレスで会いたいんだ」
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