最後の恋にしたいから
それは、私も同じだ。

課長をもっと知りたいって気持ちはある。

「だけど、私はまだ寿人を100%忘れたわけじゃないの。そんな中途半端な状態で、祐真さんと恋愛出来るかどうか……」

それが正直な気持ちだ。

「もちろん、分かってるよ。オレも無理強いするつもりなんてない。ただ、これからもプライベートで会ってもらえるなら嬉しい……」

「それは、もちろんよ。だって、さっそく夏祭りの約束してるでしょ?」

そう言うと、安堵とも取れるため息が聞こえた。

「良かった。じゃあ、いくら社内だからって、今日みたいに露骨に避けるのはやめてくれよ? 傷つく」

だんだんと拗ねるような言い方の彼に、私は思わずクスッと笑った。

「うん。分かった。それも約束するから」

ドキドキしているのも本当だけど、これは恋する気持ちなのか、まだよく分からない。
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