ぺピン
マンションの前でタクシーを降りると、時間は2時になろうとしていた。

「もうこんな時間か」

京香は呟いた後、静かにドアを開けた。

「おかえり」

その声が聞こえたのと同時に、パチリと音がした。

それまで真っ暗だった玄関が明るくなった。

「ただいま、春馬」

京香は目の前にいる春馬に声をかけると、靴を脱いだ。

「また先輩のところか?

お前も面倒なことに巻き込まれたな」

そう言った後、春馬はやれやれと言うように息を吐いた。
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