小宮の隣・俺のモラル
プロローグ

「由希おはよ。」

「おはよ。」

相手の顔を見もせず挨拶を交わした。

「顔くらい見ろよー。」

相手は、同期入社した小宮悠だった。
毎朝顔を合わせる度に、交わす挨拶はもう何年続いてるだろう。

「あー。お前の声でわかるよ。」

「へー。俺の声…?…つーか、今夜付き合ってー!」

小宮が俺を誘う時は…。

「なに?また、振られたのか?」

意地悪っぽく言ってみる。

「んー。まぁ間違ってない!夜の予定なくなっちゃってさー。んじゃ、仕事終わったら由希んとこ迎えに行くから!」

「…迎えって…わかったよ。んじゃあな。」

俺の予定を小宮は聞かない。
けど、俺はそんな小宮が嫌だって思ったことはない。

仕事が終わった後、また俺の部署にいつものように来るんだろう。
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