小宮の隣・俺のモラル

「悠くん?」

誰だっけ…?俺の名前を呼んでる人って…。

「んん…。」

うっすらと目を開けると、心配そうに顔を覗き込む人が1人。


「よかった…。少し飲み過ぎたみたいだよ。ほら、水飲んで?」

ペットボトルを俺にさしだしてくる人。

「あぁ…。」

「俺のこと覚えてないの?里見だよ。ほら、バーで一緒に飲んでたでしょ?」

あぁ。里見さんって人と飲んで、店出たらバッタリ外で会って…タクシー乗って……
今……………って………

ここどこ?!!

「ふふ…表情がコロコロ変わって面白い人だなぁ。ここは、俺の家。ごめんね!勝手に連れてきて…。君の家より俺の家が近かったからさ。」

この人の家に来ちまったのか…。

「里見さん…タクシー乗ってから記憶がないんですけど…。」

「あぁ。言った方がいいかな?」

少し意地悪な顔で言ってくる。
なんだよ…。俺、何した?!


「酷く…ぶちまけちゃってねー。んで、タクシーの中と君と俺の洋服が…。」

「あぁー!!言わなくていいです!というか、本当にスミマセンでした!!!」

座ったまま、お辞儀をして謝る。

最悪だろ…それ…。

「クリーニング代払いますから!!!」

「んー。大丈夫だよ。そんなにしないし。どおってことないよ。」

バーの皆が言ってたのは、本当だ…。
このルックスと大人の余裕を見せつけてくる…。
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