嘘でも良い

裏切り







家に帰ると、お姉ちゃんが珍しくスマホをいじっていた。

あたしが何も言わず自室へ向かおうとすると、お姉ちゃんに呼び止められた。




「夏月」

「何よ」

「帰ったらただいまぐらい言いなさいよ。
お母さんが留守だからって、マナーは守らないと駄目よ」

「はいはい、気を付けます」

「はい、は1回よ」




あたしは無視して部屋へ入る。

すると扉が開き、お姉ちゃんがスマホをいじりながらあたしのベッドにダイブした。




「莉々子とまたメール?」

「違うわよ、水月ちゃんと」

「水月と?」



先ほどのことを思い出し、あたしは眉間に皺を寄せた。




「どうしたのよ。
ブスな顔が、ますますブスになるわよ」

「放っておいて」

「水月ちゃん良い子よね。
中学の頃、私ともっと仲良くしたかったって」




お姉ちゃんと?




「でも夏月は私のこと一切水月ちゃんに話さなかったの?
水月ちゃん、もっと私のこと知りたいって思っていたのに、夏月は私のこと話さないからつまらないって」




つまらない?

水月が?







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