結婚してください

すっかりダンスに夢中になった英輔はパーティの終わりに近づいた時、私に最後の挨拶の為に会場入りするよう柴崎さんを呼び出した。


しかし、私は体調を崩したことを理由に柴崎さんに車を出してもらい実家へ帰っていった。


無断で帰宅したのは申し訳ないけど、このままだと私また辛くなるからここには居れない。


柴崎さんは私の気持ちを察してくれたのか車を手配してくれた。


「なんだと? 何故勝手に帰した?!
体調が悪ければ亜紀の部屋に連れて行くものだろう? 亜紀の家はここなのだから!」


「申し訳ありません。亜紀様があまりにもお辛そうでしたので。今日はお屋敷内に留まるのは無理かと思いまして。」


「無理? なぜ? さっきまではそれほどなかったのに。」


英輔には納得いかないようだった。


今日は大切なパーティだから、少々気分悪くても最後まで残るものだと思っていた。


それに、この家を出てはじめて迎える週末。


二人で過ごすはずの週末だったけれども、私は実家へと帰っていってしまった。


「今度からは週末は何があっても実家へは帰すな。いいな」


「ですが」


「柴崎!」


「亜紀様、泣いていらっしゃいましたよ。」


「何故・・・これだけ俺が折れてしたくもない笑顔を作ってやっているのに。
なんでだ?!」


「多分、理由はそれだと思います。
もう、亜紀様にこのお屋敷に戻るのを期待するのはおやめになってはどうですか?」


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