結婚してください

亜紀の気持ちが分からない間は無理強いができない。


本当ならば毎日抱きしめてキスして亜紀の体に触れたい。


だけど、とてもそんな状況ではない。


抱きしめるのが精一杯。


夫として出来るのは見守ること。


時々、キスをすることはあるが亜紀の機嫌によって左右される。


こんな状態では自分が夫とは思えなくなる。


それでも、こんなふうに一緒に過ごせるからそれだけでも俺は幸せなのだと自分に言い聞かせることにしている。


「亜紀、おはよう」


遅い目覚めに額におはようのキスをする。


「おはよう。今、何時?」


「もうすぐ9時になろうとしているよ。」


「ええ? もうそんな時間?
英輔、大学は?」


「今日は亜紀と過ごしたいから休むよ。」


亜紀の顔を見つめてそう言うと、頬をピンク色に染める。


そんな亜紀を見るととても心が温まる。


「単位落とさないでよ。」


「大丈夫だって。それに、予定日に近づいてきたから亜紀と一緒にいたいんだ。」


そう言うと亜紀の頭にキスをするとそのまま頭を撫でている。


ベッドに横になり亜紀の顔を見ているなんて夢のようだと思ってしまう。


こんな時を迎えれるのは嬉しいが、亜紀は今のこの生活をどう思っているのだろうか?


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