結婚してください

賑やかなパーティもいつの間にかお開きになっていた。


私は知らない間に控室のソファーに眠ってしまっていた。


英紀はベビーベッドに気持ちよさそうに眠っていた。


控室に英輔の姿がなかったので会場のほうへと行ってみた。


すると、お客が帰った後の広い部屋で英輔と義父が何やら話している姿を見つけた。


深刻そうな話だったので部屋へは入らずドア付近で様子を伺っていた。


「亜紀はマンションで暮らさせます。あの屋敷へ連れて帰るつもりはありません。」


「お前がそれでいいのならもう何も言わないでおこう。」


「息子も生まれたので周りからの声もこれまでとは違ってくるはずですから。
これはこれで良いと思っています。」


「そうか・・・・・しばらく様子をみるしかないだろうな。」


「いえ、亜紀はもうあの屋敷へ連れて行くつもりはありません。」


「離婚するつもりなのか?」


二人の深刻な話に私は体が強張ってしまった。


確かに望んでいなかったが私は英輔のために屋敷へ戻る覚悟を決めた。


なのに、英輔は私を屋敷へ連れて行くつもりはない。


それに、義父の「離婚」という問いに返事をしなかった英輔。


それは何を意味するのだろう?


英輔は何を考えているの?




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