結婚してください

午前授業が終わると今日も時間通りに英輔は昼ご飯に誘ってくる。


が、油断すると不意打ちが待っている。



「そろそろ書かない?婚姻届。俺、待ちくたびれた。」


「・・・・諦め悪いですね。」


「今日もダメか。愛妻弁当作ってくれたのに。」


「それとこれとは別。じゃ、ご飯に」


「今日はここで食べるぞ」


「はい?!」



なんで、教室なの?!


皆が見ている前でどうして一緒にご飯なの?!


これまでは人のいない場所を選んでくれたのに。



「では、頂きます!」


英輔は私が座る机の前の椅子を私の方へ向けるとそこに座った。


そして、私が作って渡した弁当を出して食べ始める。


「ん? その黒っぽいのなに? 俺の入ってないけど?」


火加減を間違って焦がした玉子焼きなんだけど。とてもじゃないけど英輔には食べさせられないよ!


「失敗してるからいいの!
藤堂さんは自分のを食べてよね!」



「少し分けてよ、ね。」



首を傾げて私の顔を覗きこむように笑顔で言われると逃げれませんよ・・・・この人からは。


あ~、ダメだっ。


私がその笑顔に弱いの知ってるんだ。そんなの振りまかれたら、私はあなたの奴隷にでもなんでもなりますよっ!


え・・・・?



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