第1巻 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～

女の口から血が垂れている。


｢あ゛、...あ｣


女が縋り付くように、俺のコートを掴む。


｢如何して欲しいんだ?｣


耳元で問う。
口を血塗れにしながら、女は言った。


｢...こ、ろ...じて...｣

｢アハハハハ!いいよ!!殺してやるｯ!!｣


俺は背中に突き立てたナイフを引き抜くと、うなじから正面に向けて突き刺した。
ナイフの先端部分が、喉笛から少し見えている。

女はゴボッと1つ大きな音を立てると、静かになった。
震えも止まっていた。
俺はナイフを引き抜いて女を離し、立ち上がった。


｢ほら、もう怖くないだろ。｣


俺は小さく微笑むと、突き立てた剣を回収して、ギフトとディーブの元へ向かった。