第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
妙に体が動かない違和感から、目が覚めた。
漸くまともに頭が働くようになった。
意識が無くなる前より痛みはないが、体が動かない事に俺は戸惑った。


「おはよう!セルリア〜!」


左隣から聞き覚えのある声が聞こえた。顔を声のした方に向ける。
其処には俺と同じように、ベッドに寝かせられたギフトがいた。
俺は現状が掴めず、頭の中が解らない事でいっぱいになった。


「????ど、どういう状況なんだ?」

「テンパる必要なんて無いよ〜、僕らはベッドに拘束されてるだけさ。」


いや、“だけ”ではないだろ。
さてはディーブの奴、俺とギフトは怪我してても平気で、何処へでも行くからって理由で拘束したな...。

ギフトはまだ俺でも解る。ギフトには痛覚が無いから、傷が開いても平気でいるからな。
だが何で俺まで...。


「いや〜本当参ったよね。いくら僕らでも、これは脱出出来ないもん。」


なんて呑気に言っているギフトに、少しならずイラついた。
誰かこの拘束を解いてくれ、速攻で殴りにかかるから。



このベッド拘束が解かれたのは、これから1~2週間後の話である。










数日後_____
ノーリスト街に男の死体と古びた教会前に女の死体が発見されたと世間が騒がしかった。



【恋人と共に___】《完》
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