イケメン同期に素顔を見抜かれました



「東京に出張になっちゃってね。上手くいけば、慎くんに会って来ようと思って」

今朝、頬を赤らめながら嬉しそうにそう話していたお姉ちゃん。

忙しい慎くんに遠慮して、自分が東京に行くことは隠していくから、あくまで『上手くいけば』会えるんだ、ってところが何だかお姉ちゃんらしい。

お姉ちゃん、会えたのかなあ。

そう思いながらスマホをチェックすると、お姉ちゃんからの一通のメール。




『慎くんと会えたので、明日帰ります。あと、近々慎くんと結婚することになりそうです』




思わず大声を上げそうになり、口元を手で覆う。

付き合いだしたと同時に、プロポーズもされていたお姉ちゃん。

ただ、慎くんの仕事の関係で、いつ結婚できるかは未定って聞いていたのに、こんなに早く結婚できるようになるなんて。

改めてプロポーズされて、目を潤ませているであろうお姉ちゃんの姿が脳裏に浮かんでくる。

嬉しい、すっごく嬉しい。

急いでメール作成画面を開いて、『おめでとう、よかったね』と送信する。

ああ、本当によかった。

恐らくお父さんとお母さんにも連絡がいっているに違いない。

これは家に帰って、本人不在でお祝いかな。

さっきまでとは一転、家族だけだけど楽しそうなクリスマスになる雰囲気がして、私の駅へ向かう足元が軽くなった。



< 32 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop