初恋の君は俺を忘れてしまいました。

優しい人なんだ。

夕日がきれいにオレンジ色に輝きだした四時ころ。


私は今日日直で教室の戸締りをし、帰ろうと靴箱で靴を履きかえていた。


玄関の柱のところに見覚えのある人影が見えた。


(・・・昂?)


「遅い」


私に気付いたらしい。


昂は携帯をいじりながら私に言った。


「え・・・なんで?」


「別に。気が向いたから。帰るぞ」


昂とは同じ方向・・・ではない。


あたりを見回すといつのまにかあのきれいな夕日が沈み、暗くなり始めていた。


(もしかして・・・暗くなると思って待っててくれた?)
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