それでも愛してる。
✩第5章✩

好き ー愛菜ー





それから日は落ちはじめ
6時になった。


「こんな時間…。」


立ち上がりマンションの中へと入る。


エレベーターに乗り
急いで自分の部屋へと行った。


ガチャ。


「ただいま!!」



勢い良く開けたドアの先に
愛子さんはいた。


「お帰り。」


妊婦なのに大きなダンボールを
持とうとしてる。


「ちょっ、愛ー…。」


私の声より先に
愛子さんの手に伸びる手。


「こら、妊婦はおとなしくしてろ。」


龍人さんだ。


「お、愛菜ちゃんお帰りなさい。」


優しい笑顔。


「ただいま…。」


急いで制服から私服に着替える。


「私も手伝う。」


そこにあったダンボールを持つ。


と、意外と重くてよろける。


「ちょ、大丈夫?」


大笑いして心配しているのか
怪しいものだ。


「これくらい平気。」


強がりがに股でダンボールを運ぶ。




「これで全部だね。」


小さなトラックに詰められた
ダンボールを見て
今さら寂しくなる。


「あ、愛子さん…。」


私は少し離れたところから
そう呼ぶと
ん?と振り返る。

その愛子さんの髪を風がなびかせる。


「あのね、太陽の事なんだけど!!」


ふっと微笑んだ愛子さんは
私の元へ静かに歩いてきた。




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