不機嫌な君
金崎部長が出て行った途端、私はバタバタと、昨日着ていた服を着る。

そして、そ〜っと寝室のドアを開けると、何事もなかったような顔で、コーヒーを飲みながら、新聞を読んでいた。

…ん?
字が見えないのか、やけに新聞が近い…
あ、メガネ。

慌てて出て行ったので、メガネを忘れている。それなのに、新聞って。

私はそれが可笑しくてクスクスと笑う。
…金崎部長って、どっか変?
そう思うと、益々可笑しくて、笑が止まらなくなった。

「…いつ迄そこで笑ってるつもりだ?」
…その言葉に、ピタッと笑が止まる。

バタン‼︎
「⁈おい!」
勢いよく閉められたドア。
金崎部長は、複雑な顔でドアを見つめる。

再び開いたドア。
金崎部長は、目を細めて、こちらを見ている。
私は静かに金崎部長に近づいた。

「…⁈」
「…メガネ、必要ですよね?」
「…///」
不意に、私がかけたメガネ。
金崎部長は、赤面したまま、固まっている。

やっぱりそれが可笑しくて、クスクスと笑う私。
…が、今度は私が赤面する羽目に。

手を握られてしまった。
私は逃げようともがく。…無理なのはわかっているけど。

「勝ち誇ったような顔しやがって」
「え…いや…あの」

「このまま、押し倒す事なんて、簡単だそ」
「だ〜‼︎無理です!無理です!ごめんなさい!悪ふざけが過ぎました」

慌てまくる私を見て、金崎部長が…笑った。

…激レアです。
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