不機嫌な君
初めてヤツに出会った時は、ただ、モヤモヤとした気持ちが湧いただけ。自分が上司だと告げたら、あっさりと引き下がった。

…自分の手元に、直ぐにひとみが戻りホッとした。それと同時に、なぜそう思ったのか、その時はまだ気づいていなかった。

2度目にヤツに会った時、ひとみの困惑顔に、イラっとした。…この時、自分の気持ちに気づいた。

ヤツにひとみを取られたくない。ずっと傍に置いておきたい。

その気持ちが確信に変わり、ひとみと駆け引きしてる最中、またしても、ヤツと2人で会ってるところに遭遇した俺は、居ても立っても居られなくなり、2人の下へ。

…ひとみの耳を塞いだのは、咄嗟の判断。まだ、俺の口から愛の言葉を言っていない。聞いてしまえば、ひとみが、自分から離れて行くのでは?と、思ってしまった。

「…何してるんですか?」
怪訝な顔で問いかけた大西悠斗。

「そんなのお前に関係ない」
その言葉に顔を歪ませる。

「…ひとみちゃんを好きじゃないなら、離れて下さい。幸せにしてあげられないなら、傍にいる意味がない」

その言葉に意を決した俺はその言葉を口にした。
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