【完】GAME OVER
あれは、中学3年生の冬に入ってすぐのこと。
俺は、多少人並みよりは容姿が秀でていたことを自覚していて、女子にそこそこモテていたのも事実。
ただ、3年間で告白された回数は2桁にのぼるけれど、その半数以上が容姿というブランド目当ての女の子たちばかりだった。
だから恋愛に対してそこまで執着はなかったし、なにより受験生ともなれば12月は誰もが真面目に勉強に取り組んでる。
それは、俺も例外じゃなくて。
「……あ、」
「ん?どしたの、湊人」
一緒に歩いていた、一応仲のいい男友達の佐渡ユキが、俺の声に足を止める。冬生まれでユキ。しかも日にちはクリスマス。なんておめでたいヤツなんだ。
「いや……
たぶん、歴史のノート返してもらって机の中に入れっぱなしにしたままだ」
「歴史?お前の志望校、社会は受験科目から除外されてなかった?」
「この間の授業、風邪で休んだから。
その分のまとめやっておこうと思って」
「あー、真面目なこった。
んで?取りに行くわけ?」
「ノートぐらいひとりで取りに帰れるから、ユキは先に帰ってくれていいよ。
じゃーね。また明日」
ひらりと、ユキに手を振る。だけどユキは「ぼっちで帰るとかさみしいだろー。俺もついてくー」なんて言ってきて。