【完】GAME OVER
雅の声がどこか遠くに聞こえる。
──逃げ出してしまいたいのに、動けない。
「湊人、」
この声で名前を呼ばれるのは、いつぶりだろうか。
ああでも、よく考えたら、分かる話だったような気もする。
だって、中学の時に奈津美は派手目なグループにいた。マスコット的な存在でもなんでもなく、彼女自身、性格がキツかったのかもしれない。
じゃなきゃ、俺と付き合っておきながら、ユキと付き合おうだなんて思わないだろうし。
もしかしたら、俺が知らないだけで、複数の男と付き合っていた可能性だってある。
「湊人」
「……ああ、ごめん。行こう」
「待って、湊人っ」
歩き出してすぐに腕を引かれて、必然的に立ち止まる。
仕方なく振り返れば彼女が泣きそうな顔で俺を見上げて、抱き着いてきた。
「お願い、湊人……話、聞いて」
どうしようもなく懐かしいのに嫌悪感が湧くのは、俺の心の中にもう彼女の存在は必要ないからだろうか。