【完】GAME OVER



──バンッと、無駄に大きな音を立てて扉を開く。



それから、止まることなく走った。



視界が霞んで、はっきりしない。



ぼやけて、自分がどこをどうやって走っているのかもわからない。



だけど、ただ走り続けた。



──信じてたのに、なんて。




「っ、はぁ……っ」



バカみたいだ。



裏切り者?



そんなわけない。



私に手を差し伸べてくれた彼を。彼らを。大切な居場所を。裏切ったりするはずない。



嫌いだった自分を、初めて誰かに認めてもらえたのがどうしようもなく嬉しくて。



『千夜(ちよ)の居場所ができて、

私、ほんっとに嬉しい』



< 3 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop