ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
俺の思い込みかもしれないけど、彼女はそれほど俺に対して嫌悪や拒否感を抱いている感じではなかった。



そもそも、自我の強い彼女のことだから、完全に対象外というような男とは、いくら仕事上の必要があったとしても、付き合ったりしてくれないはずだ。



だから、彼女も俺のことを憎からず思ってくれているのだろう、と考えていたんだけど。




さっきの様子を見ていたら、だんだん自信がなくなってきた。



あんなに青ざめて、外に飛び出すくらい、俺のことを好きになるのが嫌なのか?



俺と付き合うことは受け入れてくれたのに、どうして好きになるのは嫌なんだろう。



嫌というか、恐れているようにも見えた。




ーーーもしかして。


彼女は、ひとを好きになることを、恐れている………?




彼女の心の奥深くには、高潔で自信家な外見とは違う、脆くて暗い部分が隠されているんじゃないか?



そんなことを考えながら、俺はベランダにもたれて溜め息をもらした。




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