鬼姫マラントデイズ
律希は手を振ると、背中を見せ去っていった。




離れないでよ、離れないでよ。



もうちょっとだけ…話したかった。



「りつ…き……」



小さくつぶやいても、彼は止まらない。



なら、大きく叫べばいいじゃない。




ただ、そんな勇気が…私には出ないから。





「っ、わ!?」



たっと駆け出して、思いっきり律希の肩を持つ。


バランスを崩した律希は驚きながらこっちを見ていた。




「…びっくりした、

どうした?」




「あ…えと、いやぁ…」




「?なんだよ?」





もうちょっとだけ、なんて言えない私は。


彼を掴むしかなかった。



けど、限界があるから。





「…なんでもない。

バイバイ!」




「おう…

じゃあな」






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