【短】俺の花嫁!



『ここで新たな出会いがあるかもよ?』

「嫌よ、金持ちなんてプライド高いだけじゃない。それに、価値観が合わない。」

『何よー、私も金持ちよ?』

「薫は特別!薫2号がいるとは思えない。」

『薫2号って…。』


どんなにプラスなことを言われたって、はいそうですかってすんなりと頷けるような内容じゃない。

薫の会社の代表って言う立場で出席するんだから、猶更。

簡単な気持ちと気分では決められなかった。

それに、ドレスアップ代を薫に支払わせることも、気が引ける話だ。


『お願い!親友のピンチは救うべきでしょ!?』

「っ……この、小悪魔め。」

『フフッ…心優しい茉央は救ってくれるよね?ねぇ?』

「う……。」


さすが、高校からの悪友。

私が押しに弱い、というか”親友のピンチ"というフレーズに弱いことを知っている。

助けてというメッセージ性の高い言葉を言われると、どうしても聞かなかったことにはできなくなってしまうのが、私のダメなところだと、分かってはいるのだけれど、変えられない。


「……ドレスアップ代は、そんなに奮発しないでよね。」

『だったら!』

「はいはい、出席しますよ、パーティー。」

『ありがと、茉央ーーっ!』


抱き着く薫の可愛らしい笑顔を見てしまうと、なんだかこっちまで笑顔になってしまうんだから不思議だ。

折角の薫特製ドリアは冷えてしまったけれどね。



< 4 / 52 >

この作品をシェア

pagetop