【短】俺の花嫁!
『ここで新たな出会いがあるかもよ?』
「嫌よ、金持ちなんてプライド高いだけじゃない。それに、価値観が合わない。」
『何よー、私も金持ちよ?』
「薫は特別!薫2号がいるとは思えない。」
『薫2号って…。』
どんなにプラスなことを言われたって、はいそうですかってすんなりと頷けるような内容じゃない。
薫の会社の代表って言う立場で出席するんだから、猶更。
簡単な気持ちと気分では決められなかった。
それに、ドレスアップ代を薫に支払わせることも、気が引ける話だ。
『お願い!親友のピンチは救うべきでしょ!?』
「っ……この、小悪魔め。」
『フフッ…心優しい茉央は救ってくれるよね?ねぇ?』
「う……。」
さすが、高校からの悪友。
私が押しに弱い、というか”親友のピンチ"というフレーズに弱いことを知っている。
助けてというメッセージ性の高い言葉を言われると、どうしても聞かなかったことにはできなくなってしまうのが、私のダメなところだと、分かってはいるのだけれど、変えられない。
「……ドレスアップ代は、そんなに奮発しないでよね。」
『だったら!』
「はいはい、出席しますよ、パーティー。」
『ありがと、茉央ーーっ!』
抱き着く薫の可愛らしい笑顔を見てしまうと、なんだかこっちまで笑顔になってしまうんだから不思議だ。
折角の薫特製ドリアは冷えてしまったけれどね。