不器用な俺の恋
俺がフラフラしたせいで

昼休み、ついに梨絵がキレた

俺が止める間もなく

学食で佐久間と川村といる結の所へ行った

まわりなんか気にせず

「七瀬先輩!恭くんのことどう思ってますか?好きなんですか?」

結は、真っ直ぐ梨絵を見て

「あたしは、昔、好きだったよ?
だけど、つき合いたいと思わなかった!
勘違いしないでって、言ったよね?
あたし…好きとか言われたことないから!!
物珍しいだけよ!特別なんかじゃない!」


「恭くんのこと、とらないで…」


「梨絵ちゃん!
自信ないからって、あたしにあたらないで!
うまくいってないの、あたしのせいにしないで!!
不安なら、努力してもっと好きになってもらいなよ?
ちゃんと、捕まえとけばいいじゃん!
あたしの彼は、浩一くん!
誤解されたくないから、関わらないでくれる?」


結みたいに、ハッキリ言葉にすることが

大事だって、教えられた気がした


どこまでも、真っ直ぐな言葉


疑わしいことなんてない

浩一が好きって、大事だって

伝わった


「すみませんでした…」

バシッ
「森田、彼女にこんなことさせんなよ!」

「だな… 梨絵、ごめん…」


佐久間が、背中を叩いてくれた

頑張れって…

言われた気がした


「誤解を招くような態度して…ごめん…」

「うん」


俺は、ヒーローなんて、カッコイイもんじゃない

こんな、中途半端だから結は、つき合いたいって思わなかったんだ

1度も、好きって言わなかった

俺は、好きになって貰う努力なんて

少しもしなかった

そばにいるのが当たり前で

俺のことが好きなままだと

勝手に想ってて

結が辛い時、そばにいてやらなかったのに

ヤキモキは、焼いて

出会いも思い出せないのに

浩一のことを好きになったことが

悲しいなんて

やっと両想いの彼ができたのに

祝ってやれないなんて


最低だな…


「結、食事会どうだった?」

「おかげさまで、婚約書とやらを交わしました!幸せですよ!」

「おめでとう!!お幸せに!!」

「ありがとう!!恭ちゃんもお幸せに!!」


俺、ヒーローになれなかった


初恋だった


それすら、今思い出して


笑っちまった


さよなら、俺の初恋
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