セルフィシュラブ




何がおもしろいのかさっぱり分からないね。そして月岡の何がいいのかも理解し難いね。



クラス会長のやる気のある号令で始まった授業。いつも通り淡々と授業を進めていく月岡。相変わらず綺麗な字に妙に腹が立った。



「先生、ここ分からないです。どういう意味ですかー」



小さく手を挙げてわざとらしい高い声を出す女子。それに、ん?どこ?なんて優しげな声音を出す月岡。見ていられない。キモい。しこたまキモい。



ゾワワと体中に走る悪寒。少しでも気を紛らわせようとノートに赤ペンで落書きする。



【月岡くたばれ】



あ、ちょっとすっきりした。文字にするって大事なことだね。せっかくだしもっと書いてみよう。そうすればきっと胃のムカムカも治まるはずだ。



「瑠依さん」

「っ!」



と。ノートにペンを走らせようとニタニタしていた私の耳元で悪戯を含んだ声がした。その直後きゃあと湧き起こった周りの女子の悲鳴。


声は出さず肩をビクつかせたことで驚きを表した私は、目の前に来た顔に泡を吹きそうになった。




「プリント。やってくださいね」




月岡が何故か私の名前を入手していた。一体どこから…。いや、教師だからどこからでも仕入れることはできる。




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