叶う。 Chapter2

/約束





私は部屋に戻ると、鞄から携帯を取り出した。

時間を確認すると9時を少し過ぎたくらいだったので、和也はダンスが終わって家に帰宅したくらいだろう。

今日は色々とあったから電話をして声を聞きたい気分だったけれど、多分まだ帰宅して間もないだろうし、私が寝る前に電話を掛けた方が良い気がした。

メールを確認すると、やっぱり8時半くらいにダンスが終わったと報告メールが入っていたので、私はお風呂に入ってから電話をすると、メールを返信しておいた。


それから、机に向かって日記帳を取り出した。

今日あった出来事や思った事を私は日記帳にすらすらと書いた。

アンナがいつ目覚めても大丈夫なように、私は大切な事を忘れてしまわないうちに文字にした。


それからきちんと鍵を掛けると、引き出しにしまった。


時間は少し早いけれど、私はそのままバスルームに向かった。


廊下を歩いていると、家の中はとても静まり返っていた。

だから多分、兄達はまだ帰宅していないだろう。

バスルームの前で耳を済ませたけれど、物音はしなかったので、私はそのままバスルームの扉を開いて中に入った。

ママはもう寝たのだろうか、と微かに思ったけれどあの様子だと何となく眠ってしまった気がする。

着ていた服を脱いで、洗濯籠に入れながら私はバスルームの扉を開けてシャワーの蛇口を捻って出した。

途端にバスルームは湯気に包まれて、まるで霧のような空間になった。





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