夜空の琥珀

 
 朝のホームルームでは普段どよんとしたオーラのクラスメイトも、今日ばかりはそわそわ。

 チョークが置かれ、前の教卓で先生と並ぶ人物と、黒板に鎮座する白文字を、みんなが物珍しい目で交互に見やる。



「京都から越してきました、若葉聡士といいます。これからよろしくお願いします」



 食い入らんばかりに凝視していたクラスメイトたち。

 ぺこりとお辞儀されたのを合図に、先生の目を盗んで小声なりアイコンタクトなりで会話する。

 主に女子が。



「ねえ、どう思う?」


「そうねー、悪くないけど地味すぎ」


「ありふれた感じだよね。50点」


「名前からして草食系って感じだし、つまんなーい」



 ……言いたい放題ですね、お嬢様方。

 私がふつふつと込み上げてしょうがない感情を抑えるのに必死なときも、編入生の紹介は続く。
 
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