夜空の琥珀
 
 小枝の折れる音に、反射的に顔を上げる。


 とうとう夕陽にまで見放されてしまったのか。

 優しい光は跡形もなく消え去り、夜の更けてきた視界では周りの様子もわからない。



「なんだ、あの眼鏡と一緒じゃないのか。まぁいい」



 ゆっくりと歩み寄る足音。

 目の前で薄気味悪い笑みを浮かべた人物には、見覚えがあった。



「長谷川……」


「先輩、だろ。礼儀のなってない後輩はきちんとしつけてやらねえとなぁ。――おい」



 長谷川先輩が声をかける。

 と、暗闇の向こうから3人の男たちが姿を現す。



「お前たちは、城ヶ崎と一緒にいた……」



 朝桐くんに日野くん、そして和久井くん……で、確か合っているはず。

 城ヶ崎と違って、部活中それなりに見かける顔だから。


 その3人は、無言で長谷川先輩の後ろに立つ。

 とっさに竹刀を手に立ち上がった。
 
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